健康・美容のためにコラーゲンを。

 

コラーゲンとは

 コラーゲンは、身体の皮膚や筋肉・内臓・骨・関節・目・髪などあらゆる全身の組織に含まれており、主にそれらの細胞をつなぎとめる役割を持つたんぱく質の一種です。たんぱく質は、多くの食品にも含まれる栄養素としてその名は誰もが知っているものですが、その正体はアミノ酸が多数結合してできたものです。そのアミノ酸には基本的に必須アミノ酸9種と非必須アミノ酸11種の計20種が存在し、その種類や数、結合の順序によって、膨大な種類のたんぱく質が生成されるのです。必須アミノ酸9種とは、生体内で合成できず、食物として摂取する必要があるアミノ酸を必須アミノ酸と言います。フェニルアラニン・トリプトファン・リシン・スレオニン・バリン・イソロイシン・ロイシン・メチオニンの8種に、ヒスチジン(幼児にとって必須)を足した計9種のアミノ酸のことを指します。その数は生体内において約10万種類も存在するといわれ、ひとえにたんぱく質といってもこれだけ多くの種類があり、その機能もさまざまなものがあると言えます。コラーゲンはそのたんぱく質の代表とも言えるものであり、約10万種ある生体内のたんぱく質のうちの、実に約30%はコラーゲンが占めているのです。それだけ人間の身体にとって大きな存在であると言えるでしょう。
 コラーゲンは、皮膚・筋肉・内臓・骨など体内のあらゆる組織に含まれていますが、他のたんぱく質とは異なり、細胞と細胞の隙間、つまり細胞の外側に繊維や膜などの構造体をつくり、そのほとんどが水に溶けずに存在しています。コラーゲンの他にはエラスチン・グルコサミノグリカン・フィブロネクチン・ラミニンなどが細胞の外側に存在する物質で、これら全体でひとつの集合体=細胞外マトリックスを形成しています。これは細胞と細胞をくっつける糊(のり)のような役割を果たしているのと同時に、細胞を正しい位置に整然と配列させる区画あるいは仕切りのような役割も果たしていると言われています。コラーゲンは細胞が寄り集まっているところには必ず存在し、身体の中のコラーゲン量は全体重の約6%に相当します。ご承知のように、人間の身体の実に60%は水でできていますから、それを差し引いて考えると、この6%という重量がいかに大きなものか分かりますね。実際、コラーゲンが多く含まれる組織、例えば皮膚では乾燥重量の75%、腱では乾燥重量の85%、骨ではカルシウム化合物(ハイドロキシアパタイト)を除いた90%がコラーゲンであると言われているのです。

コラーゲンの役割

 近年、テレビCMや雑誌などでコラーゲンを紹介しているものを多く見かけるようになりました。その中でコラーゲンは、「なにか美容に良い」というイメージが先行し、肌のトラブルがあったらコラーゲン…肌がキレイになる…といった認識を持っている方は多いでしょう。確かにこれもコラーゲンの持っている役割の具体的な現象のひとつですが、それはどのようなメカニズムによって生み出されているのか気になるところですね。まず第一にコラーゲンの役割として、体全体及び臓器その他の形を作り、それらを支え、結合したり境界を作ったりします。第二の役割として、細胞の足場としての働きがあり、この足場によって細胞は分裂し増殖することができるようになるのです。これらを考えると、コラーゲンは健康や美容について言及する以前に、まず必要最低限「生きる」ために絶対に必要不可欠なものであると言えるのではないでしょうか。この「生きる」ための働きが基本にあって、その延長線上にある役割が、美容や健康面という皆さんが気になっているところだと思います。このようにコラーゲンは生命活動と老化に深く関係し、その役割が結果として健康や美容において特に注目されているところだといえます。

コラーゲンの構造

 コラーゲンの分子は長さが約300ナノメートル(0.0003ミリメートル)、直径が約1.5ナノメートル(0.0000015ミリメートル)の棒状の形をしていて、この分子は3本の鎖が絡み合った3重らせん構造(へリックス構造)となっています。いわばこの3つ編みをしたロープのようなものが、コラーゲン分子の正体なのです。これが規則的に集合し、繊維状になって人間の各器官に存在し、さらにこの分子同士が橋のようなもの(架橋)を出して結びつき、結合強度を高めています。このようにコラーゲン分子は特殊な3重のらせん構造を持ち結合力も強いので、胃や腸に存在する普通のたんぱく質分解酵素(ペプシン等)では分解されないのです。コラーゲンを分解するには特別な酵素、コラゲナーゼを必要とします。この酵素は、らせんをつくっている3本の鎖に作用して、一ヶ所で切断することができ、この切れた鎖はとても不安定で、こうなってしまうと普通のたんぱく質分解酵素によって簡単に分解されてしまうのです。
 またコラーゲンは、熱を加えることによって3重らせん構造を破壊することができます。これはコラゲナーゼのように鎖を切断するのではなく、3本の鎖でできた「らせん」をほどくように働くため、1本1本の鎖がくしゃくしゃになるのです。この変化をゼラチン化と言い、その変化が起きた時の温度を変性温度と呼びます。変性温度は住んでいる環境の温度に左右され、陸上動物(人間や牛・豚など)の持つコラーゲンの変性温度は約40度強と言われています。また、海に住む動物(魚等の変温動物)では生息している海水温によって異なり、約0度〜約25度と言われています。つまり、コラーゲンは熱を加えることによって溶けるという性質を持っており、これは一般的な他のたんぱく質、例えば卵の白身などのように熱を加えると固まるという性質に相反しています。私達が普段食物やサプリメントなどから摂取しているコラーゲンの大半は、このように熱によってゼラチン化し、ある程度までバラバラになったものです。これが胃や腸のたんぱく質分解酵素によって、アミノ酸、あるいはペプチドにまで分解され、体内に吸収されていくのです。摂取したコラーゲンが、そのままの形でコラーゲンになることはまずありません。必ず分解という過程を経て吸収されアミノ酸になり、それらを材料として人間用のコラーゲンが生成されるのです。

※分解要素
 コラゲナーゼ以外にもストロメライシンなどといった別の分解酵素(MMP)が約18種見つかっており、はコラーゲンにもT型〜]T]型まで種類があり、それぞれに分解酵素が異なってきます。そのため、中にはコラゲナーゼで分解できないコラーゲンがいくつかあります。

※ゼラチン化
 ゼラチンというと固まったものとして捉えがちですが、このプルプルしたものは熱によってゼラチン化したものが変性温度を下回ることによって、再び鎖が寄り集まって部分的に3重らせんを再構築して絡み合ったもの。つまりゼラチンがゲル化したもので、ゼリーや煮こごりなど等がちょうどこのような状態のものと言えます。

※ペプチド
 アミノ酸が2〜50個程度結合したものを、ペプチドと言います。一方50個以上結合したものをポリペプチドと言い、たんぱく質の本質はポリペプチドといえるでしょう。よって、ペプチドとは小さなたんぱく質の弟分のようなものです。また、ペプチドには重要な生理活性を持つものが確認されており、コラーゲンが分解される過程でできるペプチドにも何らかの活性作用が働いているものとして現在も研究が進められています。

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2017/11/10 更新

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